みなさんは「あんぽ柿」を食べたことがありますか?見た目は干し柿と似ていますが、作る工程が異なるので食感や味わいも全然違うんです。今回はあんぽ柿の味わいや干し柿との違い、加工レシピなどあんぽ柿の魅力をたっぷりと紹介していきます。
あんぽ柿とは
あんぽ柿とはどんな食べ物なのか?有名な産地や味わい、旬の時期について紹介していきます。
あんぽ柿の産地・由来
あんぽ柿の主な産地は発祥地でもある福島県が大半を占めており、伊達市の五十沢(いさざわ)地区が柿の加工品として知られています。
あんぽ柿のルーツは、宝暦時代に「七右衛門」という人が福島県の五十沢地区に柿を持ち込んで栽培したのがはじまりと言われており、江戸時代にその柿を天日干ししたものを「甘干し柿(あまほしがき)」と呼ぶようになりました。その後、呼び方が変化したものが「あんぽ柿」となったと言われています。
あんぽ柿の味・見た目の特長
黒っぽく粉がふいたような見た目の干し柿に比べて、あんぽ柿はソフトな質感で鮮やかなオレンジ色をしています。しっとりとした濃厚な甘さが特徴で、皮も中身も柔らかく、その食感はゼリーや羊羹と例えられることが多いです。ドライフルーツというより和菓子のような感覚で食べられるので、お茶請けにもピッタリです。
あんぽ柿の時期
あんぽ柿の旬は、原料となる柿の収穫が始まる11月から2月頃まで。この時期しか食べられない季節限定の特産物なので、贈答用としても大変人気が高いです。
あんぽ柿と干し柿の違いは?
あんぽ柿と干し柿は一見すると同じもの?と感じてしまう方もいるかもしれません。ここでは、その違いについてご紹介してゆきます◎
製造工程
あんぽ柿と干し柿の最大の違いは、製造工程にあります。干し柿は渋柿の皮を剥き、乾燥させて作りますが、あんぽ柿は硫黄で燻蒸してから乾燥させます。この燻蒸する工程は、アメリカで干しぶどう作りをする際に用いられていた「硫黄燻蒸」を応用してみたことがきっかけだと言われており、あんぽ柿特有の鮮やかなオレンジ色の理由にもなっています。
また、干し柿が水分率25~30%程度で仕上げるのに対して、あんぽ柿は水分率50%程度のセミドライ状態で仕上げるので水分量が多く、ゼリーや羊羹のようなしっとりとした食感になるのです。
ちなみに「硫黄燻蒸」と聞くと硫黄の成分が気になるところですが、硫黄は乾燥中に揮発してなくなるため、安心して召し上がれます。
原料に使う柿の品種
原料になる柿は主に蜂屋柿(はちやかき)と平核無柿(ひらたねなし)の2種類で、どちらも渋柿の品種です。どちらも実が大きくて水分が多く、糖度が高いという特徴がありますが、どちらの柿を使うかによって多少仕上がりに差が出るので、自宅で作る際にはこの2つの柿の違いをあらかじめ認識しておくと良いでしょう。
あんぽ柿の栄養は?
「柿が赤くなれば医者は青くなる」ということわざがあるように、柿は栄養価が高い果物として知られています。ただでさえ栄養豊富な柿をあんぽ柿にすることでビタミンA が生柿の状態と比べて2倍以上、カリウムとカロテンは4倍以上に増えます。さらに食物繊維も豊富で、 その量はさつまいもの 2.1倍、セロリの 4.9倍にあたります。
ビタミンA には皮膚や粘膜を丈夫にする働きや免疫力をあげる効果が期待できるので、風邪やがん予防にも有効です。また、カリウムは体内の余分なナトリウムを排出し血圧を下げる働き、食物繊維は糖尿病予防や便秘改善、整腸作用が期待できます。
あんぽ柿を美味しく食べよう!おすすめレシピ
あんぽ柿とチーズの生ハム巻き
〈材料〉
- あんぽ柿 好きなだけ
- モッツァレラチーズ 好きなだけ
- 野菜(きゅうり、アスパラなど) 好きなだけ
- 生ハム 好きなだけ
〈作り方〉
- あんぽ柿はヘタと種を取り除く
- 8等分に切る
- チーズと野菜もあんぽ柿と同じサイズに切る
- 全部を生ハムで巻く
あんぽ柿のマフィン
〈材料 6個分)
- あんぽ柿 2個
- 薄力粉 200g
- アーモンドプードル 50g
- ベーキングパウダー 3g
- 無塩バター 100g
- グラニュー糖 100g
- 溶き卵 2個分
- クリームチーズ 60g
〈作り方〉
- 無塩バターは常温に戻し、薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるっておく
- オーブンを170度に予熱しておく
- あんぽ柿はヘット種を取り除き4等分にしてから角切りにする
- クリームチーズをあんぽ柿と同じサイズの角切りにする
- ボウルにグラニュー糖と無塩バターを入れて混ぜ合わせる
- 溶き卵を入れてさらに混ぜる
- そこに1の薄力粉、あんぽ柿とクリームチーズも入れる
- 型に入れて焼き色がつくまで焼く(20分ほど)
あんぽ柿はただのドライフルーツじゃない!
あんぽ柿は栄養豊富な柿を、ギュッと凝縮させることでさらにバージョンアップした栄養満点のドライフルーツということがわかりました。そしてみずみずしくソフトな噛み心地から、干し柿が苦手な人でも美味しく食べられます。自然由来の上品な甘さは老若男女問わず愛され、食べ応えもあるので間食やお茶請けにもピッタリです。冬季限定の贅沢なあんぽ柿を大切な人や自分へご褒美にプレゼントしてみましょう!