年末からお正月にかけてよく見かける干し柿。上品な甘みとしっとり滑らかな食感は温かいお茶と相性バツグンで、寒い時期にぴったたりのおやつです。そんな干し柿の表面には、白い粉が吹いていることがありますよね。この白い粉は、実は干し柿の甘さの証といわれており、家庭で手作りした干し柿に吹かせるのは難しいのです。
今回は、干し柿の白い粉の正体や、白い粉を吹かせるためのコツを紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね◎
干し柿の白い粉の正体
干し柿の白い粉は、柿から染み出た糖分が結晶化したもので、「柿霜(しそう)」と呼ばれています。柿霜は干し柿の甘さの証であり、うっすらと吹いているものからびっしりと吹いているものまで様々ですが、甘い干し柿にはもれなく”白い粉”がついています。
干し柿作りには柿を揉む工程があるのですが、その際に柿の中の水分と一緒に表面に出てきた糖分が結晶化すると、白い粉状に変化します。そのため、白い粉が多いということは、染み出るほどの糖分を持っているということになり、甘くて美味しい干し柿の証とされているのです。
干し柿の産地では、古くから柿霜の吹き方で干し柿の出来栄えを判断していたため、現在でも贈答品として販売される干し柿は柿霜がびっしりと吹いているものばかりです。
干し柿に白い粉が吹く条件
とはいっても、甘くて美味しい干し柿でも白い粉が吹いていないものもあります。その理由は”白い粉が吹く条件”にあります。
干し柿に白い粉が吹く条件は、以下の通りです。
- 寒さ
- 時間
- 湿度の低さ
- 糖分(原材料)
干し柿に白い粉を吹かせるには、冷たい空気で糖を結晶化させる必要があるため、”寒さ”は必須ポイントになります。少なくても気温が10℃以下が条件なので東北地方だと11月中旬以降、それ以外の地域だと12月に入らないと白い粉を吹かせるのは難しいといわれています。
また、白い粉を吹かせるためには、柿を十分に乾燥させなければいけないので、最低でも2週間ほど湿度の低い環境でじっくりと干すことが大切です。
さらに、原料となる柿選びも重要で、干し柿作りには甘柿よりも渋柿が適しています。「甘柿の方が甘いんじゃないの?」と思いがちですが、実は渋柿の方が遥かに糖分が高く、干し柿に加工することで渋みが抜け、本来の甘みを引き出すことができるのです。
干し柿の産地では、原材料となる干し柿の品種にもこだわっており、糖度が高く大ぶりな渋柿が使用されています。
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※2023年11月~2024年1月のデータ家庭で実践!干し柿に白い粉を吹かせる方法
家庭で手作りする際には、先ほど説明した白い粉を吹かせる条件を満たすのはなかなか難しいもの。そこで、手作りでもできる干し柿に白い粉を吹かせるコツを紹介します。
柿をたわしで擦る
柿をある程度干して水分が抜けた状態で柿の表面をたわしで擦りましょう。そうすることによって表面に傷がつき、中の糖分が表面に出やすくなります。タイミングですが大体3日干すとある程度乾燥してくるので、実を崩さないように注意しながらゴシゴシ擦ります。1回だけではなく、完成まで何度か繰り返すことで白い粉が吹く確率が上がります。
干し柿同士をすり合わせる・揉む
これもたわしで擦るのと原理は同じです。干し上がった干し柿をガーゼに包んで毎日数回、柿同士を擦り合わせながら軽く揉みます。それ以外の時間は寒い場所に柿同士が重ならないように広げて置いておきましょう。
冷凍して温度を下げる
白い粉に必要な”寒い環境”を物理的に作ってしまうやり方です。完成した干し柿を1個ずつラップに包み、さらに密閉できる保存袋に入れて冷凍庫に入れます。このとき、冷凍焼けを防ぐためにしっかりと密閉するのがポイントです。冷凍庫から出して自然解凍した後、時間が経つと白い粉が出てきます。
湿気を取り除くのにわらを使う
こちらも白い粉を吹かせる上で欠かせない”湿度の低い環境”を作るために、藁(わら)を使用します。干し柿が入るくらいの箱を用意し、その中にわらを敷いて干し柿を並べます。数が多い場合はミルフィーユ状にわら、干し柿の順番で重ねていきます。これを寒い場所に置いておくと約10日ほどで白い粉が出てきます。ちなみに、わらを使う理由は余分な湿度を吸収してくれること、通気性が良いのでカビが生えにくいことです。わらの代用品として新聞紙でも問題なく使用できます。
白い粉とカビの見分け方は?
美味しい干し柿の証といわれても、見た目がカビに似ていることから、知らずにいたら捨ててしまう人も多いかと思います。柿霜とカビを簡単に見分ける方法として、まずは色を見てみましょう。青や緑のプツプツとした斑点や胞子がついている場合はカビなので食べないように注意が必要です。
次に感触ですが、柿霜は砂糖のようにザラザラとしていますが、カビはふわふわしていることが多いです。柿霜かカビか、迷ったときはこの2点で判断してみてください。
まとめ
今回は、干し柿の白い粉の正体と吹かせ方について紹介しました。
もちろん、白い粉が吹いていなければ美味しくないというわけではありませんが、手作りした干し柿に白い粉を吹かせられると嬉しいですよね。干し柿作りは簡単ですが奥深く、毎回出来上がりに差が出るのも手作りの良さといえます。何度でもチャレンジして、納得のいくオリジナルの干し柿を作ってみてくださいね!
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