りんごといえば、青森県や長野県。そういうイメージはありませんか?令和2年の政府統計によると、都道府県別の収穫量割合は、青森県が61%、長野県が18%、岩手県が6%と、上位の3県で9割を占めています。しかしながら、くだもの王国・福島県でもりんごが栽培されていること、そしてその品質の高さと希少性から「幻のりんご」としての業界では評判なのはご存じでしょうか?
今回は福島県産のりんごの特徴や、おいしく育つ秘訣、そして美味しいりんごを購入する方法をご紹介します!
福島県のりんごの特徴は?他県産となにが違う?
「幻のりんご」との呼び声もある、福島県産のりんご。他県で栽培されるりんごと比較してどのような特徴があるのでしょうか?
りんごの品種と、風土に美味しさの秘訣がありました。
品種は「ふじ」が主流
令和元年の政府の調査によると、福島県内のりんごの品種の生産面積は以下の分布となっています。
- ふじ 【栽培面積】18,036ha 【シェア率】51.1%
- つがる 【栽培面積】4,091ha 【シェア率】11.6%
- 王林 【栽培面積】2,595ha 【シェア率】7.35%
- ジョナゴールド 【栽培面積】2,344ha 【シェア率】6.64%
- シナノスイート 【栽培面積】1,106ha 【シェア率】3.13%
- シナノゴールド 【栽培面積】821.0ha 【シェア率】2.33%
- 北斗 【栽培面積】558.9ha 【シェア率】1.58%
- 弘前ふじ 【栽培面積】507.5ha 【シェア率】1.44%
- 陸奥 【栽培面積】456.0ha 【シェア率】1.29%
- 秋映 【栽培面積】445.9ha 【シェア率】1.26%
生産面積 1033.5 haに対して、「ふじ」が 801.8 ha と 77.6%を占めます。2番目に生産されている「つがる」が 43.5 ha(4.2%)なので、「ふじ」が主流品種と言っても差し支えないでしょう!
〈参考〉ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
政府統計の総合窓口(e-Stat)は各府省等が公表する統計データを一つにまとめ、統計データを検索したり、地図上に表示できるなど、統計を利用する上で、たくさんの便利な機能を備えた政府統計のポータルサイトです。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500503&tstat=000001020907&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000001032892&tclass2=000001163131&stat_infid=000032173098&tclass3val=0
「ふじ」りんごの特徴
福島県の主流品種、「ふじ」はどのような特徴のりんごなのでしょうか?
- 世界で最も生産されているりんご
- 甘みと酸味のバランスがよく、食味に優れている
- 「蜜」が入りやすいりんご
の3つの観点からご紹介します。
世界でもっとも生産されているりんご
1939年(昭和14年)、青森県の藤崎町に存在した農林省園芸試験場東北支場で、「国光(こっこう)」と「デリシャス」とを交配してできた品種が「ふじ」。
藤崎町の「藤」の響きが、富士山を連想させること、さらには初代ミス日本コンテストグランプリの覇者で昭和の代表的な美女・山本富士子さんにちなみ、命名されたといわれています。
日本で生産されるりんごの、「ふじ」のシェアは約5割と、日本でもっとも生産されている品種であることに加え、世界規模で見ても、りんご生産量の半分近くを占める中国においても、「ふじ」のシェアは6割強。アメリカ、チリ、ニュージーランド、アフリカ大陸など世界各国でも栽培される、世界でもっとも生産されるりんごが「ふじ」なのです。
〈参考〉「ふじ」りんご生誕80年 | 青森りんご公式サイト
りんごの代表的品種「ふじ」が2020年に生誕80年を迎えました。日本のりんごの約6割を生産している青森県では、「ふじ」の記念イヤーの今年、改めて「ふじ」の情報を広く発信し、その魅力を消費者に伝えていきます。
https://www.aomori-ringo.or.jp/80th-anniversary/
甘いだけじゃない!ほどよい酸味が甘さを引き立てる
誕生した当初から大人気!とはいきませんでしたが、生産者による弛まぬ品種改良や、栽培技術の確立により、支持を集めていった「ふじ」。
甘みと酸味のバランスが良く、食味のよさが特徴です。
加えて、鮮やかな赤色の見栄えの良さや、食べた際のしゃりしゃり食感など、赤りんごの王様といっても過言ではないでしょう。
甘くはないが、甘さの証!蜜が入りやすいりんご
また、「ふじ」の特徴として、「蜜入りりんご」になりやすいことが挙げられます。
“蜜” といっても、蜂蜜のような甘さはありません。
りんごの蜜の成分はソルビトールという物質で、りんごの本来の甘味成分である「果糖」や「しょ糖」の原材料です。「果糖」や「しょ糖」より甘くなく、”蜜” はいわば余り物。
裏を返せば、甘さがぎっしり詰まったりんごにしか蜜は入らないので、蜜入りりんごは、甘いりんごの証なのです!
じつは「王林」発祥の地・福島県
くだもの王国・福島県は、じつは「王林」の発祥の地です。福島県桑折町にて、ゴールデンデリシャスと印度(いんど)とを交配させてつくられたもので、昭和27(1952)年に、“リンゴの中の王様”という意味をこめて『王林』と名づけられました。
ナシのような斑点がある緑色の外見、酸味が少なく甘さが強い味が特徴のリンゴです。
桑折町上郡字宮前には、王林の原木がありましたが、カミキリムシの被害にあい、仕方なく平成16年に伐採しました。現在では、切った根元から若い芽が伸びており、地元では大切に育てています。
美味しい果物を生み出すための努力と、樹々への愛情の深さが伺えます。
11月に最盛期を迎える
最近では、CA貯蔵などの技術の進展により、サンふじは3月末まで、有袋ふじは8月頃までおいしくいただけますが、青森県産の「ふじ」りんごは、12月が最盛期の品種です。
一方、福島県産の「ふじ」は、一足早く 10月下旬から収穫が始まる、”秋の味覚”となっています。
最大の特徴は樹上完熟りんご!風土が可能にした長期栽培
そしてなにより、福島県のりんごの特徴は「樹上完熟」りんごであることです。
青森県や岩手県より南に位置する福島県では、春は早く暖かくなり、冬は遅く雪が降るため、りんごの実がなってから他の産地と比較して長期間、樹上で生育を待つことが可能です。
日照時間が長いこと、昼夜の寒暖差が大きい盆地に位置すること、そして吾妻山の麓に広がる豊かな土壌や水など、自然環境を味方につけながら、より美味しいりんごを栽培しています。
福島県産のりんごを買うには?
そんな、魅力たっぷりの福島県産のりんごを買うにはどうすればいいでしょうか?
ぜひ、JAふくしま未来の販売店をご活用ください!りんご以外にも福島県の名産品を多く取り揃えております。
直売所は、シーズンには駐車場がいっぱいになるほど、人気のスポットです。
昨年のりんご人気ランキング
※2023年9月~11月のデータ直売所で購入する
まず、JAふくしま未来の直売所を訪れて購入するという方法が考えられます。直売所に並ぶ商品は、地元の農家さんが朝一番に運び込むもので、毎日新鮮です。
また、地元の農家さんが持ち込む商品以外にも、贈答用の共選品を扱うこともよくあります。じっさいに自分の目でみて選ぶ楽しさもありますよね!
ここら 矢野目店 ※ここら全店にて購入可
住所:福島市北矢野目字原田東1-1(電話:024-552-5881)
みらい百彩館「んめ~べ」
住所:伊達市雪車町19(電話:024-551-2223)
こらんしょ市 二本松店 ※本宮店でも購入可
住所:二本松市杉田駄子内6-1(電話:0243-62-4218)
旬のひろば ※相馬市ふれあい旬のひろばでも購入可
住所:南相馬市原町区錦町1-13(電話:0244-22-2860)
直売所一覧:https://www.ja-f-mirai.or.jp/life/?shop_2
産直ECサイトで購入する
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まとめ
以上、幻のりんごとの呼び声高い、福島県産のりんごについて紹介してきました。品種は、代表的な「ふじ」がメインですが、福島県特有の風土を味方につけ、樹上完熟の栄養たっぷりのりんごに仕上がることをご紹介しました。
ただ、環境のよさがあることはもちろん、生産者の日々の農作業や、よりよい農作物を育てようとする努力の賜物であることも揺るがない事実です。
美味しそう!応援したい!と思われた方は、ぜひお買い求めください!