果物といえばりんごを思い浮かべる方も多いかもしれませんね。そんな身近な果物りんごには、どんな栄養素が含まれているのでしょうか。
この記事では、りんごに含まれる栄養素とその働きや効果的な食べ方などについて解説します。りんごの1日当たりの適量などについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
りんごに含まれる栄養素と効能
りんごにはビタミンCやカリウム、食物繊維など、人体に欠かせない栄養素のほか、老化防止に役立つポリフェノールなども含まれています。
ここではりんごを食べることで摂取できる主な栄養素やその働きについて詳しく見ていきましょう。
整腸作用などの効果が期待できる「食物繊維」
食物繊維とは食べ物に含まれる栄養素のうち、消化・吸収されずに大腸まで届く成分のことです。
食物繊維は主に便のカサを増やすことで腸を刺激し活発化させ、便通を整える働きをします。このような作用から、食物繊維を十分摂取することで便秘の改善も期待できるでしょう。
また糖や脂質などを吸着し体外へ排出する作用もあるため、生活習慣病の予防効果も期待できます。
食品名 | 状態など | 食物繊維総量 |
---|---|---|
りんご | 皮なし/生 | 1.4g |
りんご | 皮つき/生 | 1.9g |
バナナ | 生 | 1.1g |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 2.6g |
うんしゅうみかん | 生 | 1.0g |
いちご | 生 | 1.4g |
コラーゲンをつくる「ビタミンC」
皮膚や軟骨などを構成するたんぱく質「コラーゲン」をつくるのに欠かせない栄養素がビタミンCです。
ビタミンCが欠乏してコラーゲン合成ができなくなると、血管がもろくなり出血しやすくなったり肌のハリや弾力が失われたりします。
またビタミンCは体内に増えすぎると老化を引き起こす「活性酸素」の働きを抑えたり取り除いたりする抗酸化ビタミンとしても働いています。
その他、鉄の吸収を高めるなど体内でさまざまな働きを担っているのがビタミンCなのです。
食品名 | 状態など | ビタミンC |
---|---|---|
りんご | 皮なし/生 | 4mg |
りんご | 皮つき/生 | 6mg |
バナナ | 生 | 16mg |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 71mg |
うんしゅうみかん | 生 | 32mg |
いちご | 生 | 62mg |
主な果物のビタミンC含有量を見ると、実はりんごのビタミンC含有量はあまり多くありません。
しかし「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構」の研究によると、りんごを摂取することで血液中のビタミンCの濃度が上昇したことから、りんごにはビタミンCの吸収を高める成分が含まれていることが報告されました。
ビタミンCの含有量は決して多いとは言えませんが、効率よく吸収できるということなのですね。
塩分(ナトリウム)の摂りすぎに役立つ「カリウム」
体に欠かせない「ミネラル」の一種がカリウムです。カリウムは、同じくミネラルの一つであるナトリウムとともに体内の浸透圧の調整に関わっています。
またカリウムの働きとして知られているのが、ナトリウムを体の外へ排出してくれる作用です。ナトリウムは主に食塩として摂取され、摂りすぎると高血圧を引き起こします。そのため高血圧予防・改善にはナトリウムの制限(食塩制限)に加え、カリウムを十分摂取することも重要であるとされています。
その他カリウムは神経伝達や筋肉の収縮にも関わっています。
食品名 | 状態など | カリウム |
---|---|---|
りんご | 皮なし/生 | 120mg |
りんご | 皮つき/生 | 120mg |
バナナ | 生 | 360mg |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 300mg |
うんしゅうみかん | 生 | 150mg |
いちご | 生 | 170mg |
抗酸化作用のある「ポリフェノール」
ポリフェノールは活性酸素を除去する働きのある抗酸化物質の一つです。
過剰に発生した活性酸素は、がんや生活習慣病などを引き起こすことが知られています。
ポリフェノールには大豆の「イソフラボン」やお茶の「カテキン」などさまざまな種類がありますが、りんごに含まれている主なポリフェノールは「プロシアニジン」です。プロシアニジンは一般的には「リンゴポリフェノール」とも呼ばれています。
また皮の赤い品種のりんごの皮部分には「アントシアニン」と呼ばれるポリフェノールが含まれています。
りんごは1日何個まで?どこからが食べ過ぎ?
さまざまな栄養成分が含まれるりんごですが、1日に食べる量としてどのくらいが適量なのでしょうか。
食べすぎた場合の影響なども踏まえて見ていきましょう。
昨年のりんご人気ランキング
※2023年9月~11月のデータ1日に食べるりんごの目安
農林水産省「食事バランスガイド」では、1日に食べる果物の目安量を200g程度としています。
中くらいのりんご1個分の重さはだいたい300gくらいです。それを考えると1日2/3個程度、少し小さめのりんごで1日1個と考えておくと良いでしょう。
食べすぎると・・・?!
りんごにはビタミンやミネラル、その他体に良い影響をもたらす成分などが含まれていますが、糖質も多く含まれています。りんごは他の果物と比べるとやや糖質の多い果物です。そのため食べすぎることで糖質の摂りすぎとなる可能性も出てくるでしょう。
糖質を摂りすぎると余った分は脂肪として蓄えられてしまいます。食べすぎが続けば肥満や生活習慣病を引き起こしかねないため、適量を目安に食べるようにしましょう。
りんごの健康効果を最大限に活かす!調理のNG
りんごの栄養を最大限に取り入れるには、どのような食べ方がより効率的なのでしょうか。
食べ方①皮ごと食べる
りんごのポリフェノールや食物繊維は、皮ごと食べることでより多く摂取できます。これらの成分を効率よく摂取したい場合は、りんごを良く水洗いし皮ごと食べるのがおすすめです。
食べ方②毎日食べる
りんごにも含まれるポリフェノールは水に溶けやすい性質があります。そのため、たくさん摂取しても体に蓄えておくことができません。毎日継続的にりんごを食べることで、ポリフェノールの効果を得ることができると考えられます。
まとめ|りんごはこんな人におすすめの果物!
りんごには食物繊維やカリウム、ビタミンCのほか、疲労回復に効果が期待されるリンゴ酸や抗酸化作用のあるポリフェノールなどが含まれています。
- 生活習慣病対策をしたい方
- 若々しさを保ちたい方
- 疲れぎみの方
- 便秘がちな方
りんごは皮ごと食べることで含まれる栄養成分の効果を最大限に取り入れることができます。ただし食べすぎは禁物です。適量摂取を意識して、りんごを健康づくりに役立ててくださいね。
【参考文献】
日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
日本人の食事摂取基準(2020年版)(2)水溶性ビタミン(厚生労働省)
厚生労働省eJIM | ビタミンC | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ | 「統合医療」情報発信サイト
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/09.html
抗酸化物質 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
抗酸化物質 » 活性酸素の発生やその働きを抑制したり、活性酸素そのものを取り除く物質のこと。 ポリフェノール、カロテノイドなどの種類がある。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
活性酸素と酸化ストレス | e-ヘルスネット(厚生労働省)
活性酸素と酸化ストレス » 大気中には、約20%の酸素が含まれており、生物はこの酸素を利用し生命活動を維持しています。酸素は、外部からの様々な刺激を受け、反応性の高い活性酸素に変化します。活性酸素は、細胞伝達物質や免疫機能として働く一方で、過剰な産生は細胞を傷害し、がん、心血管疾患ならびに生活習慣病など様々な疾患をもたらす要因となります。そのため生体内には、活性酸素の傷害から生体を防御する抗酸化防御機構が備わっていますが、活性酸素の産生が抗酸化防御機構を上回った状態を酸化ストレスといいます。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
食物繊維 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
食物繊維 » 食べ物の中に含まれ、人の消化酵素で消化することのできない物質。 整腸作用など身体の中で有用な働きをすることが注目され、第6の栄養素といわれることもある。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
リンゴ摂取による血液中の中性脂肪減少、ビタミンC増加、腸内細菌叢改善 | 農研機構
農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発を行う機関です。ヒト介入研究の結果、リンゴ摂取(1日1.5~2個:3週間)により、血液中の中性脂肪が平均21%減少し、中性脂肪値の高いヒトでは減少幅が大きく、低いヒトでは減少幅が小さいことから、リンゴには中性脂肪を正常化する作用がある。また、リンゴ摂取により血液中のビタミンCが平均34%増加し、善玉腸内細菌であるビフィズス菌の割合が15%増加し、ウエルシュ菌(悪玉菌)が消失もしくは減少する。
https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2001/fruit01-11.html
食事由来ポリフェノールの機能性研究の展望と社会実装化|公益財団法人 日本農芸化学会 化学と生物 Vol. 59(2021)No.5,254-261
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/59/5/59_590407/_pdf